日语剧本《一公升的眼泪》(附注音)

1リットルの涙-第１話（ある青春の始まり）せいしゅんはじ

l体育館

「特別じゃないただ特別な病気に選ばれてしまった少女の記録。」(歓声)

l常南大学病院の診察室

みずのにんげんのうやく

さいぼうじょうなんだいがくびょういんしんさつしつおくしんけいさいぼうばいしんけいさいぼうしじかんせいとくべつとくべつびょうきえらしょうじょきろくたいいくかん水野：人間の脳には約140億の神経細胞とその10倍もの神経細胞を支持する細胞があります。それらの神経細胞は中枢神経と末梢神経に分けられ、そのうち中枢神経は大脳、間脳、小脳、脳幹、脊髄に分かれています。その中で体を自由にスムーズに動かす働きをしているのがしょうのうなかからだじゆううごはたらのうかんせきずいかあじょうのうがぞうちゅうすうしんけいだいのうかんのうしょうのうのうかんせきずいわしんけいさいぼうちゅうすうしんけいまっしょうしんけいわ小脳、脳幹、脊髄です。お母さん、これがお嬢さんの脳の画像ですがこちらの正常な脳の画像と比べてみてください。小脳が萎縮しているのが分かると思います。お嬢さんの病気は何らかの理由で小脳いしゅくそんざいしんけいさいぼううしな

こわりかいわおもじょうびょうきなんりゆうしょうのうせいじょうのうがぞうくらしょうのういしゅくが萎縮し、そこに存在するさまざまな神経細胞がしだいに失われていくというものです。つまり壊れていくと理解してください。

潮香：壊れる？

水野：最初はほとんど自覚症状はありませんが、まず歩行時にふらつきが見

られるようになります。転倒も多くなり自分と物の距離がうまくとれなくなったり あるいはうまく字が書けなくなったり (亜也：「病気は どうして私を選んだのだろう。」)

水野：言葉をうまく話せなくなります。

(亜也：「お母さん わたしは 何のために生きているの？」)水野：症状はゆっくりですが確実に進行します。

(亜也：「将来を 想像すると また 別の涙が 流れる。」

「お母さん わたし 結婚 できる？」)

l池内豆腐店

瑞生：

よいしょ。みずおいけうちとうふてんかあけっこんあやしょうらいそうぞうべつなみだながみずのしょうじょうかくじつしんこうあやかあなんいみずのことばはなあやびょうきわたしえらじかてんとうおおじぶんものきょりみずのさいしょじかくしょうじょうほこうじみしおかこわ

亜也：おはよう。あや

瑞生：おい、亜也？

弘樹：おはよう。

瑞生：おはよう。

理加：おはよう。

瑞生：ああ、おはよう。亜也、お前ゆうべ遅かったんだろう？

亜也：うん、3時ごろかな。あやじ

みずおねまえみずおあやまえおそりかみずおひろきみずおあや瑞生：だったらほとんど寝てないじゃないか、お前。

亜也：何か落ち着かなくって寝れなかったの。あやなんおつね

みずおきょうみせてつだ瑞生：おい、じゃ今日は店の手伝いはいいから、なっ。

潮香：ダメよ。

瑞生：けどさ、今日は入試だぞ入試。

潮香：店の手伝い休めば合格できんの？

瑞生：あのなぁ、お前のそういう融通の利かないところが

弘樹：ほら、手が止まってる！

瑞生：はい。バカヤローコノヤロー、親に向かって偉そうなこと言うんじゃ

ない！

亜也：ヒロ、ちょっと手伝って。あやてつだ

ひろきみずおおやむえらいひろきてとみずおまえゆうずうきしおかみせてつだやすごうかくみずおきょうにゅうしにゅうししおか弘樹：うん。

瑞生：あっだからさ今日はいいから、なっ。うーん、英単語の一つでも覚え

るか少し寝るかどっちか

亜也：ここまできたらもうジタバタしないで腹くくる。あやはら

しおかすこねみずおきょうえいたんごひとおぼ潮香：そういうこと。

瑞生：まったくもう。あら、亜湖は？

l亜也たちの部屋

瑞生：ほら、いつまで寝てんだよ？はい起きて、はいお仕事お仕事。亜湖：ああ、うざい

あこみずおねおしごとしごとあやへやみずおあこ

瑞生：はい亜湖ちゃーん、起きましょうね。朝ですよ、はい。

亜湖：うざい。あこ

みずおおいたいじゅうぜみずおあこおあさ瑞生：起きろって言ってんだ。こら！体重責め！

亜湖：キャー！あこ

いけうちとうふてんl池内豆腐店

亜湖：まったく毎朝毎朝、これじゃ虐待だよ虐待！あこまいあさまいあさぎゃくたいぎゃくたい

みずおはたらものくもんくい瑞生：「働かざる者食うべからず」文句言わない！

亜湖：文句じゃないわよ、当然の主張。お小遣い上げてよお小遣い。あこもんくとうぜんしゅちょうこづかあこづか

みずおりかこかねかねい瑞生：理加ちゃん、ホントいい子だね。お金お金って言わないもんね。亜湖：毎日1時間も働いてんのに、お小遣いたった3,000円だよ。時給100円あこまいにちじかんはたらこづかえんじきゅうえん

えんだよ100円。ありえない。

亜也：ぜいたく言わないの。

亜湖：優等生。あこゆうとうせいあやい

弘樹：俺は小遣い1,000円だから、えーっと1か月で30時間働くんだから、

えーっと

亜湖：弘樹あんたそんな計算もできないの？あこひろきけいさん

ひろきおれかざんにがてひろきおれこづかえんげつじかんはたら弘樹：俺、掛け算苦手なんだよな。

亜也 亜湖 瑞生：割り算。あやあこみずおわざん

ひろき弘樹：えっ？

瑞生：弘樹、お前は池内豆腐店の跡取りなんだぞ。そんな計算もできなくて

しょうばいみずおひろきまえいけうちとうふてんあととけいさんおもまえ商売ができると思ってんのか、お前？

あやとうふひと潮香：亜也、お豆腐一つちょうだい。

亜也：はーい。あーっ。

亜湖：何やってんのよ？あこなにあやしおか

瑞生：ああ。

亜也：ごめーん。あや

ひろきみずお弘樹：

ああもうもったいねえ。

理加：落ちちゃった。

瑞生：うっ

潮香：あっ今日はね、そういう言葉使わないの、ねっ。

瑞生：使わない。あっあっ、落ちちゃったよ。あっ使っちゃったよ。みずおつかおつかしおかきょうことばつかみずおりかお

あこひろき

亜湖 弘樹：いってきまーす。

瑞生みずお：おう！いってこい。

あやまま

亜也：ちょっと待って。待ってってば。

瑞生みずお：おう、頑張がんばってこいよ。

あや

亜也：いってきます。

潮香しおか：あや！ちょっとわす忘れもの

亜也物！

あや

亜也：えっ。

潮香しおか：じゅけん受ひょう

験票。

あや

亜也：あっ。

潮香しおか：まったくそそっかしいんだから。

瑞生みずお：ハハハ、まったく誰だれに似にたんだか。

あや

亜也：じゃあ。

瑞生みずお：ああ、しまった！ちょっま

ちょっと待て。あの、

あやしょうばいはんじょう

亜也：ありがとう。「商売繁盛」？

瑞生みずお潮香しおか

：えっ？

潮香しおか：さすが親おや子こね。

瑞生みずお：きごりやくいっしょも

気にするな、御利益一緒だから。持ってけ、ほら。

あや

亜也：いってきます。

瑞生みずお：おう、いってこい。

潮香しおか：あやがんば

亜也、頑張ってね。

瑞生みずお：頑張がんばれよ！

l東高ひがしこうの校門こうもん

まり：あやなに

亜也のヤツ何やってんのよ

。

れ持もってけ。こ

きょうし教師：受験生は急いでください。

まり：亜也ごめん。

l街頭

亜也：どうしよう、間に合わないよ。あっ！あやまあがいとうあやじゅけんせいいそ

(チャイム)

遥斗：ジ エンドってことで。

(物音)

亜也：痛ーい。あやいた

はるとかんべんものおとはると遥斗：勘弁してよ。

亜也：ごめんなさい。あや

はると遥斗：ああ、いいよいいよ。

l受験室

きょうしじゅけんしつはじ教師：はい、始めてください。

l街頭

遥斗：乗れよ。

亜也：えっ。あや

ようごしつはるとのがいとうl養護室

遥斗：じゃ、失礼します。

西野：よかったな。二人にはここで受験してもらうことになったから。遥斗：えっ

亜也：いいんですか？あや

にしのじゅけんせいこうへいたもじかんめしゅうりょうじかんはるとにしのふたりじゅけんはるとしつれい西野：ただし、ほかの受験生との公平を保つために1時間目の終了時間は

予定どおりとするけど、いいね？

亜也：はい、ありがとうございます。あや

はるとおれよてい遥斗：いや、俺はあの

西野：入試に遅れてまで人を助けるなんてなかなかできるこっちゃないぞ。遥斗：あっ、いや別に

はるとべつにしのにゅうしおくひとたす

西野：朝日奈三中受験番号2114番、池内亜也さんだね？

亜也：はい。あや

にしのかさうらちゅうじゅけんばんごうばんあそうはるとくんにしのあさひなさんちゅうじゅけんばんごうばんいけうちあや西野：うん、笠浦中受験番号1093番、麻生遥斗君だね。

遥斗：はい。

l池内豆腐店

さくら：亜也ちゃん今日受験なんだって？

瑞生：ええ、そうなんですよ。明和台東高校。

さくら：えっ東高校？すごい進学校じゃない。さすがだわね。

瑞生：ああいやいや、そんな大したことはないですよ。えーとはいはい、

じゃあ180円のお釣りね。

さくら：えっ350円でしょ？

瑞生：はいはい、どうぞ。えっ？

さくら：「鳶が鷹を生んだ」っていうのかしらね。

瑞生：えっ？

l朝日奈市保健センター

潮香：生まれた？おめでとうございます。それじゃますますお孫さんのため

にも元気になんないとね。

同僚：池内さん、楓クリニックから電話です。

潮香：かけ直します。わたしね、低カロリーでおなかがいっぱいになる料理

のレシピ作ったんで後でお宅にお持ちしますね。

はしもとつくあとたくもいけうちしおかなおていりょうりどうりょういけうちかえででんわげんきしおかうまごあさひなしほけんみずおとんびたかうみずおえんえんつみずおたいひがしこうこうしんがっこうみずおめいわだいひがしこうこうあやきょうじゅけんいけうちとうふてんはると橋本：ねえ、池内さん。

潮香：あっ、じゃあ後ほど。

はしもとしおかのちけつあつあ橋本：わたしねおとといから血圧が上がっちゃったのよ。どうしたらいい？潮香：橋本さん、ちょっと待っていていただけますか？

三沢：池内さん。

潮香：はい。

三沢：三丁目の山田さんの家庭訪問お願いできる？池内さんじゃないと嫌

みさわさんちょうめやまだかていほうもんねがいけうちいやしおかみさわいけうちしおかはしもとま

だって言ってんの。

潮香：分かりました。それじゃ午後に。

鈴木：池内さん。

潮香：はい。

鈴木：これ、よかったら食べてよ。今朝ね、畑でとってきたばかりなんだ。潮香：すいません。いつもありがとうございます。

l東高

まり：まったく受験のときにバスん中で居眠りなんて。あんたはいい根性し

てるっつうか、心臓に毛が生えてるっつうか。

亜也：うん。

こうへいあやじかんめこうおもしんぞうけはじゅけんなかいねむこんじょうひがしこうしおかすずきたけさはたけしおかすずきいけうちしおかわごごゆ耕平：1時間目来ねえから受けねえのかと思ったよ。

遥斗：そのつもりだったんだけどな。

こうへいはると耕平：はっ、マジかよ？

まり：ねえ亜也、高校入ったらさ携帯買ってもらいなよ。

亜也：うん。あや

けいたいいまもけいたいもあやこうこうはいけいたいかまり：携帯今どき持ってないなんてあんたぐらいだよ。携帯持ってたらさ今朝だってすぐ連絡できたのに。

亜也：あっ。あや

あやけされんらくまり：えっ？亜也？

亜也：あの 今朝はありがとうございました。おかげさまで あやけさ

はるとまえおれう遥斗：お前のせいで俺まで受けちゃったじゃねえか。

亜也：えっ？

こうへいあやだれ耕平：おい、誰よ？

遥斗：知らね。

こうへいはるとしはると耕平：遥斗。

l亜也の家

みずおおとこあやいえじてんしゃふたりの瑞生：男と自転車に二人乗り

？

潮香：じゃ遅刻したの？

亜也：うん。あや

みずおおとこしおかちこく瑞生：男ってのはどこのどいつなんだよ？

亜湖：亜也姉なら平気でしょ。時間なくてもスラスラ解けんじゃないの？あこあやねえへいきじかんと

みずおおやいおとこ瑞生：親にも言えないような男なのか？

亜也：でも半分ぐらいしか書けなかったんだよね。あやはんぶんか

ひろきか弘樹：お代わり。

潮香：理加、ニンジンもちゃんと食べなさい。

瑞生：お おい！俺の話聞いてんのかよ？

亜湖：汚いな、もうツバが飛んでんじゃんよ。あこきたなと

みずおおやむきたななんなんみずおおれはなしきしおかりかた瑞生：親に向かって汚いって何なん 何なんだよ。

亜湖：汚いものは汚いの。あこきたなきたな

しおかじてんしゃのこかんしゃ潮香：でもその自転車に乗せてくれた子に感謝しなくちゃね。

亜也：うん。あや

みずおかんしゃかんがかたおれわよめいまえむすめ瑞生：はい？感謝!?えっ？その考え方俺よく分かんない。嫁入り前の娘が

おとこ男と自転車に二人乗りしたんだぞ。

まえあとふたりの

おれいじてんしゃふたりの弘樹：嫁入り前でも後でも二人乗りはまずいんじゃないの？瑞生：いやいや だから俺が言いたいのはだな、その

潮香：二人とも受かってるといいわね。

亜也：落ちてたらどうしよう。あやお

みずおだいじょうぶおすべしおかふたりうみずおひろきよめい瑞生：大丈夫だよ、そんなこと。あっ落ちちゃった いやいや これ滑っ

ちゃって、あっ滑ったって言っちゃった。

l東高

じゅけんせいひがしこうすべい受験生：あったー！あった。

あや

亜也：すいません。2114、2114 あった！あったー！やったー！まり：わたしもあった！

亜也：

うれしい！あや

まり：受かった、受かった！ねっ。

かわもとうう河本：池内。

亜也：河本先輩。

かわもとあやかわもとせんぱいふたりういけうち河本：二人とも受かってよかったな。おめでとう。

亜也 まり：ありがとうございます。

かわもとあやちゅうがくぶこうはいぶたけだ河本：中学のバスケ部の後輩。こいつバスケ部の武田。

武田：よろしく。

亜也 まり：よろしくお願いします。

かわもとあやねがいけうちこうこうたけだ河本：池内、高校でもやるだろ？バスケ。

亜也：はい。

かわもとあや河本：よかった。

武田：でもウチのバスケは厳しいから、覚悟するように。

亜也 まり：はい。

かわもとあやたのいたけだきびかくご河本：それじゃあな、楽しみにしてるから。行こうぜ。

武田：おう。

まり：「よかった」だってさ。

亜也：やめてよ、もう。あや

ちゅうかたおもたけだまり：中1からだっけ？片思いしてんの。いいかげんコクったら？

亜也：無理無理、絶対無理。あやむりむりぜったいむり

かあやきもつたまり：じゃあわたしが代わりに亜也の気持ち伝えてあげよっか？

亜也：ダメ！そんなの絶対ダメ。あやぜったい

まり：ああっもうイラつくっつうか、じれったいつうか。

亜也：そんなに怒んないでよ。あやおこ

べつおこじゅけんひあやたすまり：別に怒ってないけどさ。あっそういえば受験の日に亜也のこと助けてくれた人受かったかな？

亜也：ああ あや

あやいえひとうl亜也の家

(クラッカーの音)

いちどうおと一同：おめでとう！

亜也：ありがとう。あや

みずおおれむすめ瑞生：よくやった。さすが俺の娘だ。

亜湖：お父さん、東高じゃないじゃん。あことうひがしこう

みずおまえことよけい瑞生：どうしてお前はいつもひと言余計なんだろうね。

潮香：さっ、じゃ食べようか。

瑞生：いただきます。

いちどうみずおしおかた一同：いただきます。

瑞生：うん、どうした？

理加：亜也姉ちゃん、おめでとう。

亜也：ありがとう。あや

ひろきあやねえりかあやねえみずお弘樹：亜也姉、これやるよ。

瑞生：うん。

亜也：ええっ、いいの？ありがとう。

亜湖：ありがとうなんてよく言えるね。そんなのもらってうれしいはずないあこいあやみずお

じゃん。

亜也：うれしいよ。だってヒロの宝物じゃん。

亜湖：さすが優等生。あこゆうとうせいあやたからもの

潮香：またそういうことを言う。

弘樹：亜湖姉は何プレゼントするんだよ？

亜湖：するわけないじゃん。自分が欲しい服も買えないのに。あこじぶんほふくか

ひろきとひろきあこねえなにしおかい弘樹：あっ、からし取って。

潮香：はいはい、はい。

亜湖：大体さ、みんなで東高東高って大騒ぎしちゃってバカみたい。あこだいたいひがしこうひがしこうおおさわ

みずおとういわしおか瑞生：これはお父さんからのお祝いだ。ジャーン！

亜也：うん？ありがとう、お父さん。あやとう

瑞生：これお父さんの手作りだ。

亜也：ホントに？あや

みずおみずおとうてづく瑞生：ああ。

弘樹：ウソウソ。

潮香：ほら、お父さん昔時計屋さんで仕事してたでしょ。そのときに覚えた

んだって。

瑞生：うん。

亜也：へえ。あや

みずおあことくべつみずおしおかとうむかしとけいやしごとおぼひろき瑞生：ああ、それから亜湖にも特別ボーナスだ。

亜湖：えっ。あこ

みずお瑞生：ジャーン！

亜湖：何それ？あこなに

みずおとうむかしほうせいこうじょうしごと瑞生：かわいいだろう？お父さんな、昔縫製工場で仕事してたこともあるん

だ。

亜也：ホントにいろんなことやってんだね。あや

みずお瑞生：ああ。

亜湖：何やっても長続きしなかったってこと？あこなにながつづ

みずおなにいとうじぶんあしごとみ瑞生：何を言ってるんだ。お父さんはな、自分に合った仕事を見つけるため

に妥協をしなかったんだよ。

亜湖：ふーん、ものは言いようだね。あこい

しおかしごとみせつとうふつくこころだきょう潮香：でもいろんな仕事をしてやっとお店を継ごうお豆腐を作りたいって心

の底からそう思えるようになったんだから、それでよかったのよ。瑞生：だよな？おいおいおい、ほらちょっと当ててみろよ。

亜湖：何？あこなに

みずおにあみずおあそこおも瑞生：ほらほらほら わあ、似合ってるぅ！

亜湖：こんなダサいの着れると思ってんの？あこきおも

みずお瑞生：えっ、

ダサい？

亜也：家で着ればいいじゃん。あやいえき

瑞生：家で？

潮香：あっ、寝るときとか。

瑞生：寝るとき？

弘樹：セーターの下に着るとか。

瑞生：セーターの下？そんなにダサいのか。

亜也：あっ、ねえお母さん。あやかあ

しおかみずおしたひろきしたきみずおねしおかねみずおいえ潮香：うん？

亜也：今日は合格祝いなんだしお父さんにビール飲ませてあげて。あやきょうごうかくいわとうの

みずお瑞生：えっ。

亜也：お願い、1本だけ。あやねがぽん

しおか潮香：まっ、しょうがないか。

瑞生：ええっ、いいの？

亜也：いいのいいの。わたし取ってくるから。あやと

みずおみずお瑞生：ハハハ、うれしいな。ええ？よいしょ。

亜也：はい、お父さん。あやとう

みずおひさあやしゃくさいこう瑞生：おお、ありがとう。いやあ久しぶりのビールに亜也の酌、もう最高だ

な。

亜也：はーい。あや

みずお瑞生：はい。

亜也：ああっ！あや

みずお瑞生：ああっ、ちょっとちょっと。

亜湖：何やってんの？

亜也：ああっ、ごめん。あやあこなに

瑞生：久しぶりの 久しぶりのビールが。おいおい、ちょっと何かふく

ものみずおひさひさなん物。

亜也：わたしってホントそそっかしいね。

ごめん。あや

瑞生：いやいや、大丈夫か？

亜也：えっ、それ あや

みずおみずおだいじょうぶ瑞生：ああっ！これでふいちゃった。

亜也：ああ あや

みずおあこ瑞生：ああ、亜湖のブラウスが。

l遥斗の部屋

(MDの音楽)

(ノック)

佐知子：どうしたの？電気もつけないで。

よしふみさちこでんきおそきゅうはいごうかくおんがくはるとへや芳文：遅くなってすまなかったな。急なオペが入ったもんだから。合格おめ

でとう。

遥斗：ありがとうございます。

よしふみはるとけいすけこうはい芳文：これでわたしや圭輔の後輩だな。

佐知子：もう少しうれしそうにしたら？ホントに変な子ね。合格発表も見に

行こうとしないし。

よしふみいさちこすこへんこごうかくはっぴょうみ芳文：そうなのか？

佐知子：うん。合格したこと担任の先生が連絡くださったのよ。

よしふみさちこごうかくたんにんせんせいれんらくじしんしょくじいしたく芳文：フフフ、自信がなかったのか？さあ食事に行くから支度しなさい。(ドアの閉まる音)

l亜也たちの部屋

亜也：疲れてんのかな？あやつか

あやいえあやへやしおとl亜也の家

あや

しおか亜也：ジャーン、どう？潮香：ああ、よく似合ってる。

亜也：ホントに？あや

ひろきにあ弘樹：イケてるイケてる。

理加：理加も着たい。りかりかき

亜也：じゃあ一緒にみんなで同じ高校行こっか？

亜湖：それ嫌味？わたしの成績で東高受かるわけないじゃん。

亜也：そんなことないよ。

亜湖：別に行きたくないし。ごちそうさま。あこべついあやあこいやみせいせきひがしこううあやいっしょおなこうこうい

潮香：ごめんね、入学式行けなくて。

亜也：ううん、仕事でしょ。しょうがないって。あやしごと

みずおじゅんびしおかにゅうがくしきい瑞生：よし、準備できたぞ。

潮香：どうしたの？そんな格好して。

瑞生：入学式だよ。

亜也：お店は？あやみせ

みずおごごあみずおにゅうがくしきしおかかっこう瑞生：午後から開ければいいじゃないか。

潮香：午後から開ける豆腐屋さんとこにいんのよ？

瑞生：いや、けど

亜也：ねえお父さん、写真撮って。あやとうしゃしんと

みずおみずおしおかごごあとうふや瑞生：ああ、ああ、そうだな。

l池内豆腐店の前

瑞生：よし亜也、ほら行くぞ。笑えほら、よーしー。ちょっとポーズ変えて

みようか。うーん、いいねいいねいいね。わあ、はい行くぞ。は

い、よーし。今度こっちバックこっちバック。はいはい、ほらお母さん、ちょっと並んで並んで。

潮香：はーい、はいはい。

瑞生：行くよ。あら？あれお前少しやせたんじゃないか？

亜也：ホントに？あや

みずおみずおいまえすこしおかならならこんどかあいみずおあやいわらかいけうちとうふてんまえ瑞生：うん。

潮香：変なダイエットでもしたんじゃないでしょうね？

亜也：してないよ。あや

みずおいしおかへん瑞生：さっ行くぞ、

はい。

潮香：ならいいけど。今は体つくる大事なときなんだからね。

亜也：分かってるって。あやわ

みずおまいこんどならしおかいまからだだいじ瑞生：はいもう1枚。はいよーし、今度はみんな並んで。ほらそこにそこに

なら並んで。

亜湖：わたしはいいよ。あこ

しおかはい潮香：ダメだって、ほら入って

亜湖：ああ、いいよ。あこ

みずおまい瑞生：よーし、ちょっと待って。よし。さっ行くぞ、はいっ。ああっほら、

どけどけ はい、ほらほらほら。笑え。

(シャッターの音)

瑞生：よし。

弘樹 亜湖：いってきます。

潮香：いってらっしゃい。

亜也：いってきます。あや

しおかしおかひろきあこみずおおとわら潮香：いってらっしゃい。

瑞生：気をつけてな。

亜也：うん。あっ。あや

みずおきいみずおき瑞生：フフフ、だから気をつけろって言ったんだよ。

l東高の教室

西野：担任の西野だ。担当教科は英語。女子バスケ部の顧問をやってる。

これからの1年間一致団結して

まり：みんな頭よさそうだね。近づきにく

亜也：シッ。あや

にしのしゅっせきあそうはるとあたまちかねんかんいっちだんけつにしのたんにんにしのたんとうきょうかえいごじょしぶこもんひがしこうきょうしつ西野：それじゃあ出席をとるから。麻生遥斗。

亜也：麻生？あやあそう

にしのあそうはるとおんだ西野：麻生遥斗？恩田。

こうへい耕平：

はい。

西野：お前麻生と同じ中学だな。何か聞いてないか？

こうへいにしのまえあそうおなちゅうがくなんき耕平：別に何も。遅えよ、遥斗。

西野：入学式まで遅刻か？

遥斗：すいません、途中で女子高生が転んでケガしたんで、ほっとけなくて

びょういんはるととちゅうじょしこうせいころにしのにゅうがくしきちこくべつなにおせはると病院についていったんです。

まえまいかいたいへんわせきつ

ひと西野：お前も毎回大変だな。分かった、席に着け。まり：入試のときの人だよね？

亜也：うん。あや

にしのいけだりょうまにゅうしにしの西野：池田亮馬。

池田：はい。

西野：恩田耕平。

こうへいにしのおんだこうへいいけだ耕平：はい。

西野：岡田明広。

岡田：はい。

こうへいおかだいまはなしにしのおかだあきひろ耕平：なっ、今の話マジか？

遥斗：ウソ。

こうへいはるとおも耕平：だと思った。

亜也：変なヤツ。あやへん

にしのさっそくいいんきりっこうほもの西野：えー早速だがクラス委員を決めるから。立候補する者いるか？じゃあ

すいせん推薦したい人はいるか？じゃあ1学期は出席番号1番の男女にやってもらおうか。男子は麻生。

遥斗：えっ、マジっすか？

西野：女子は池内。この二人でいいか？

(拍手)

西野：それじゃあ二人とも1学期のクラス委員よろしくな。

亜也：はい。あや

はるとにしのふたりがっきいいんはくしゅにしのじょしいけうちふたりはるとだんしあそうひとがっきしゅっせきばんごうばんだんじょ遥斗：

めんどくせえ。

西野：クラス委員、前に出て。えーみんなも分かっていると思うが6月に

がっしょうにしのいいんまえでわおもがつ合唱コンクールが行われる。これは東高の伝統行事の一つで、新しおなものどうしきょうりょくあひと

めざおこなしきしゃきょくもくきおこなひがしこうでんとうぎょうじひとあたらく同じクラスになった者同士が協力し合い一つにまとまることを目指して行われる。まずは指揮者と曲目を決めるから。クラス

委員、協議を進行してくれ。

亜也：あの えっとじゃあまず指揮者決めたいと思います。あやしきしゃきおも

みほいいんおもいいんきょうぎしんこう美歩：クラス委員がやればいいよ思います。

遥斗：じゃあやって。

亜也：えっ。あや

はるとたすうけつとしきしゃなんなまえはると遥斗：多数決取ります。えー指揮者は えっ何だっけ名前？

亜也：池内です。あやいけうち

はるといけうちはんたいひと遥斗：池内さんに反対の人？ ってことだから。

亜也：えっちょっと あや

はるとつぎきょく遥斗：じゃあ次、コンクールの曲について。

圭子：それもクラス委員で決めてもらっていいんじゃない？

亜也：えっ。あや

あやいえけいこいいんきl亜也の家

しおか

ひろき潮香：クラス委員に選ばれたの？弘樹：すげえ。

瑞生：さすが俺の子だ。

亜湖：お父さん、クラス委員になったことあんの？あことういいん

みずおとくみずおおれこいいんえら瑞生：いや特にない。

亜湖：何それ？

亜也：でも男子のクラス委員なんか全然やる気ないの。あっあの子。あやだんしいいんぜんぜんきこあこなに瑞生：うん？

亜也：入試の日に自転車の乗っけてくれた子。あやにゅうしひじてんしゃのこ

みずおふたりのおとこみずお瑞生：あっあの二人乗り男か

？

潮香：同じクラスになったの？あっ、じゃ今度連れてらっしゃいよ。亜也：んっ!?あや

みずおとうふいっちょうくしおかおなこんどつ瑞生：うーん、まあしょうがねえな。豆腐の一丁でも食わしてやるか！なっ

うん。

亜湖：この間はあんなに怒ってたくせに？あこあいだおこ

みずおふたりのおとこあやひがしこう瑞生：だってしょうがねえだろ。その二人乗り男がいなきゃ亜也だって東高

に入れなかったかもしれないんだしよ。

亜也：でもその子合唱コンクールの指揮者までわたしに押しつけるんだよ。あやこがっしょうしきしゃお

みずおなになになにむすめだいかんしゅうなかふはい瑞生：何何何？ホントか？ウチの娘が大観衆の中でタクトを振るのか？弘樹：俺見に行く。

理加：理加も。

瑞生：俺も。

理加：亜也姉ちゃん、ヘタくそ。

亜也：ホントだね。理加のほうがうーんと上手だね。あやりかじょうず

みずおがっしょうりかあやねえみずおおれりかりかひろきおれみい瑞生：ハハハハ。ふーん、合唱コンクールか。

l亜也たちの部屋

亜也：病院？あやびょういん

しおかきさいきんものおあやへや潮香：うん、ちょっと気になんのよ。ほら最近よく物を落とすでしょ。それ

によく転ぶみたいだし。

亜也：多分ちょっと疲れてるだけだって。あやたぶんつか

しおかころ潮香：うーん、でもねえ

亜也：あんま驚かさないでよ。保健師のお母さんにそんなこと言われたら怖あやおどろほけんしかあいこわ

いじゃん。

潮香：いや、脅かすわけじゃないけど

亜也：まあそこまで言うならお母さんの顔を立てて病院行ってあげてもいいあやいかあかおたびょういんいしおかおど

けど。

潮香：あっホント？じゃあそうしよっか。そのほうが安心できるしね。亜也：大丈夫だよ、

わたしまだ15だよ。あやだいじょうぶしおかあんしん

亜湖：お風呂空いたよ。あこふろあ

潮香：入んなさいよ。

亜也：はーい。あや

あやしおかはいl亜也のクラス

圭子：ああ、これいいね。かわいい。

亜也：あの 富田さんだよね？あやとみた

けいこなにけいこ圭子：何？

亜也：合唱コンクールの伴奏お願いしたいんだけど。あやがっしょうばんそうねが

けいこひと圭子：ええ？ほかの人にやってもらってよ。

亜也：でもね、ウチのクラス、ピアノ弾けんの富田さんしかいなくって。あやひとみた

みほいいん美歩：クラス委員がやれば？

亜也：えっ。あや

けいこしきばんそういっしょかくげい圭子：指揮と伴奏一緒にやんの？それじゃ隠し芸じゃん。ねえ、これかわい

い。

美歩：うん、かわいいね。

圭子：今度買い物に行こうよ。

美歩：うん、行こう行こう。

l体育館

西野：新1年生ようこそ。僕は顧問の西野です。

香織：部長の本田香織です。よろしく。

しんにゅうぶいんかおりぶちょうほんだかおりねがにしのしんねんせいぼくこもんにしのたいいくかんみほいいけいここんどかものいみほ新入部員たち：よろしくお願いします。

かおりじつりょくみ香織：それじゃあまずみんなの実力を見せてもらうから。

しんにゅうぶいん新入部員たち：はい。

かおりひとりじゅんばん香織：じゃあ一人ずつ順番に。

しんにゅうぶいん新入部員たち：はい。

香織：それじゃあまず3年がやって見せるから。

いちどうかおりねんみ一同：

ナイスショット。

部員：お願いします。

まり：ほらほら、亜也。かっこいいよねぇ、河本先輩。

早希：あの 同じクラスだよね？

亜也：うん？あやさきおなあやかわもとせんぱいぶいんねが

まり：うん

早希：松村早希です。

まり：あーっあっ、眼鏡の。

亜也：よろしくね。あや

さきはじめがねさきまつむらさき早希：わたしバスケットって初めてなんだ。

亜也 まり：へー。あや

かおりつぎ香織：次。

亜也：はい。

いちどうあや一同：ナイスショット。

香織：次。

l生物部室

こうへいせいぶつぶしつなんせいぶつぶおんなかおりつぎ耕平：何で生物部なんだよ？やっぱ女にモテるにはサッカーかバンド

っしょ？

遥斗：別に女にモテたくねえし。

こうへいはるとべつおんなぶ耕平：なあ、サッカー部あたりにしない？

遥斗：生物部。

こうへいはるとせいぶつぶなん耕平：何でだよぉ。

遥斗：部長がすげえ美人なんだって。

こうへいはるとぶちょうびじんおな耕平：えっ、マジ？あっ、同じクラスだよな？

慶太：はい、中原慶太です。

こうへいけいたなかはらけいたれいぶちょう耕平：でっ、どこだよ例の部長は？

よしかわ吉川：入部希望者？

こうへいにゅうぶきぼうしゃ耕平：

はい。

遥斗：はい。

よしかわはると吉川：あっ部長の吉川です。ようこそ生物部へ。

l亜也の家

あこなん

あやおあやいえおぶちょうよしかわせいぶつぶ亜湖：何で起こしてくれなかったのよ。

亜也：起こしたよ、何度も。

亜湖：ウソだよ。

亜也：ホント。でも全然起きないんだもん。あやぜんぜんおあこなんど

潮香：ちょっと、ちゃんと食べていきなさいよ。

亜湖：ああ、もういい。あこ

しおかすこあますねえちゅうしおかた潮香：ねえ、少し甘え過ぎなんじゃないの？お姉ちゃんが中2んときには

ね

亜湖：どうせわたしはお姉ちゃんと違って出来損ないの落ちこぼれですよ。亜也：すぐそういうこと言う。

亜湖：何よ、いつもいつもいい子ぶって。亜也姉なんかいなきゃよかったのあこなにこあやねえあやいあこねえちができそこお

よ。

潮香：ちょっと亜湖！

亜也：何なのよ、もう。あやなん

いけうちとうふてんまえしおかあこl池内豆腐店の前

亜也：お父さん行ってきます。あやとうい

みずおいき瑞生：おう行ってらっしゃい。気をつけてな。

亜也：うん。はっ！あや

みずおあやしおかあやあやだいじょうぶあや瑞生：亜也。おいっ、潮香！亜也！亜也！どうした？大丈夫か？亜也！

だいじょうぶ大丈夫か？潮香！おい、しっかりしろ。おい大丈夫か？おいっ、

救急車！

びょういんつ

おれいしおかだいじょうぶきゅうきゅうしゃ潮香：えっ？わたし病院連れていくから。瑞生：ああっ、じゃあ俺が行く。

潮香：

ちょっとタオルタオル。しおかみずおしおか

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